相続

相続法、改正されてるの巻 その4

去年、相続法が改正されているじゃん!って急遽シリーズ化して記事を書いていたのもすっかり忘れ、1年以上も放置してしましました・・・。

改正されている主なポイントのうち、すでに

 

 

  ①婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置 

 ②預貯金の払戻制度の創設

 

   は書きました。(旧ブログをご参照ください。

 

残すは、

 

     ③遺留分制度の見直し

     ④特別の寄与の制度創設 の2点です。

 

 ③は、今まで遺留分減殺請求権っていう物権的請求権で、請求権を行使すると、不動産の場合は有無を言わさず共有状態にされちゃったけど、それって、いろいろ不都合だからやめよう、遺留分侵害額請求権って権利に変えて金銭請求権にしよう、お金で請求できるようにしようっていう制度で、極めて合理的な改正なので、特に解説する必要も無いかと思いますので、飛ばします。

 

 それよりも、④特別の寄与制度の創設が問題です!!

 

     ④特別の寄与制度とは・・・ 相続人以外の被相続人の親族で、無償で被相続人の療養看護等を行った場合に、その相続人に対して金銭の請求ができるようになったという制度です。

 

    つまり、どうゆうことかというと・・・・ 例えば、父、長男、長男の嫁、長女、二男という家があったとします。 

   父と長男夫婦が同居し、長女と二男は独立して別居している。 父の療養看護をもっぱら長男の嫁がやっていた。

 そして、父が亡くなった場合、長男の嫁は相続権はありませんから、相続の話には入れません。

   すっごい、お父さんの療養看護してたのに。 

   いわゆる、長男の嫁、介護し損問題です。 

     理解のある、長女や二男であれば、義姉さん、これまでありがとうございますって言って、相続で長男の取り分を多めにするとか、相続で取得した分からいくらか渡すとかするんでしょうけど、まぁそんなことは性善説に立った夢物語で、現実は、そんなことはありません(そういう人もまれにいるかもしれません)。 

    長女、二男が要求するのは、きっちり法定相続分満額です。下手したら、兄さんは父さんから生活費支援してもらってたんだろ、とか言い出して、特別受益の主張なんかしてくるかもしれません。泥沼の構図ですね。

 で、世の中では、そんな事案が頻発し、長男の嫁が報われない事案がたくさんあるので、もう、これは法律で守ってやろうということで、今回、「特別の寄与の制度」がもうけられました。

 

これが認められる要件は次の通り

 ① 被相続人の親族であること ←内縁の妻は親族ではないのでNG

               もちろん、近所のおばちゃんもNGです。

 ② 無償で労務提供による特別の寄与行為をした ←対価をもらっていた場合はNGです。 

 ③ ②により、被相続人の財産が維持され、または増加したこと 

 

効果:上記要件を満たす、特別寄与者は、相続人に対して、特別寄与料を請求できる。※相続人になれるわけではありません。

 

  相続に加わることまではできませんが、相続人に対して、特別寄与料を請求できることになります。 

  そして、問題は次です。 

 

  この権利を行使する場合は、なんと、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6ヶ月経過したとき、または相続開始から1年経過したときは、請求できない(民法1050条2項但)となっているのです!!

相続の開始つまり、被相続人の死亡 及び 相続人を知ったとき から

       たったの6ヶ月 

  経過したら、もう権利が消滅するんですってよ!! 

 

  つまり、義父が死亡してから6ヶ月以内に、長女及び二男に対して、長男の嫁が「私、特別寄与料請求します」って内容証明を送らないといけないってことになります。

 どう思います、皆さん? 短すぎませんか? もしかしたら、話し合ったら、長女と二男が義姉に感謝するかもしれないし、長男の取り分多めで円満に相続が終わる可能性もあるのに、その様子を見てたら、あっという間に6ヶ月が経過してしまって、権利が消滅してしまう そして、消滅させないために、長男の嫁がいきなり長女と二男に内容証明送りつけないといけないって・・・ 

 

  あげる気ある?守る気ある?介護してくれてた人を・・・

 

  って思いませんか?

 

 なんとしても、この苦労は報われなければやってられないわ~っていう特別寄与者は、とにもかくにも相続問題が泥沼化するのを覚悟で、とりあえず「特別寄与料請求権行使」の意思表示をする必要があります。 

  長男の嫁(別に二男の嫁でも良いですし、長女の婿でもいいです)が報われる制度ができた!待望の制度創設だ!と一見思われそうな「特別寄与制度の創設」ですが、まぁ、使われなさそうですね。使いにくい。

 

  結局、無償で労働提供しない、ちゃんと介護料をもらうことにする(推定相続人と事前に話しった方がよいでしょう)か、介護は専門家に任せる、が一番よいと思います。

 

  そもそも、昨今は介護サービスも充実してきましたし、施設も増えていますので、以前ほど親族の誰かに全負担がかかるような状況は少ないと思うので、せっかくできた制度ですけど、時期に遅れた感じがある&制度設計的にあんまり活用されることを想定されていない気がします。

 

 現在、自分の親や義両親を介護している方は、ご参考にしてください。

 

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       栗田法律事務所 まで!

 

あ、最後に、久しぶりの新作です。

親子を作ってみました。

 

 

寒空に佇む秋田犬の親子・・・
  • 2021.02.15 月曜日
  • 相続
  • 6:04 PM
  • by 栗田法律事務所